専業主婦を給料換算すると年収470万円に相当するという、2016年キリンビール(株)の発表は波紋を呼びました。
「高すぎる」
「安すぎる」
「そもそも年収換算するものではない」
様々な意見の攻防が繰り広げられましたが、一言で片付けてしまうと「不毛」というほかありません。
「公的な文書では「主婦=無職」と扱われるが、主婦も大変な仕事である」
というのが無難、かつ一般的な着地点でしょうか。
しかし私こそ「主婦=無職=価値がない」という考えで沈んでいた専業主婦です。
[st-kaiwa1]やりがいを感じない日々ってつらい[/st-kaiwa1]
夫の転勤で仕事をやめることになり、うつうつとしながら過ごした日々…
しかし専業主婦歴が長くなり、主婦の仕事というものを冷静に考えるようになりました。
この記事では、
「専業主婦は無職なのか?」
ということから、
「主婦はどうやって誇りをもって生きていくか」
をたっぷり考察しました。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
主婦には当然、男性(女性以外)の主夫も含まれます。
いちいち主婦(または主夫)と書くと読みにくくもなりますので、一般的な表現である「主婦」という漢字で表現させていただきます。
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主婦は堂々とした無職であれ。
まず結論を申し上げます。
専業主婦は仕事をしますが、職業ではありません。
つまり、専業主婦は無職です。
そのため、年収換算することもナンセンスですし、職業欄に「主婦」がない場合は「無職」にチェックを入れればいいのです。
そもそも「主婦」が職業欄にあること自体、主婦層を敵に回したくないマーケティングからだと思っていますので、用意される職業の選択肢は潔く「無職」だけでいいというのが私の意見です。
[st-mybox title=”メモ” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
現在の日本の慣習では、警察などの公的な文書以外では無職と書くより「主婦」と書いた方が印象が良い場合が多いです。
職業欄が空欄で用意されているなら私は「主婦」と書きます。
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私は無職であることを卑屈に思っている訳ではなく、無職の主婦仲間を貶めたい訳でもありません。
堂々とした誇り高き無職でありたいと思っています。
やたら無職に肩書きをつけたがる世の中
そもそも無職も幅広い存在です。
そしてその多様性から、人は無職にも多数の肩書きを付けたがります。
[st-mybox title=”無職一覧” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- ニート
- 自宅警備員
- 浪人生
- 介護中
- 自分探し中
- 充電期間
- 求職中
- 専業主婦
[/st-mybox]
全部「無職」ですが、与えられる印象はまるで違います。
しかし何か事件に関与した時に報道される職業は全て「無職」一択です。
「会社員」にも多様な種類があるように、「無職」にも多様な種類があります。
「無職」は悪いわけではありません。
ただ、金銭が発生する仕事をしていないというだけでザックリくくっているだけです。
人生色々。
無職も色々。
あまり「無職」という言葉を深く考えずにそれぞれ咲き乱れましょう。
主婦の仕事と職業は分けて考えよう
仕事と職業は分けて考えましょう。
そこを一緒にしてしまうからこそ、「無職」という言葉に傷ついたり、反発したりする人が多くなります。
[st-kaiwa3]無職っていうと、何もしてないみたい[/st-kaiwa3]
[st-kaiwa1]もちろんそんな事はないよね[/st-kaiwa1]
仕事とは何か
仕事の定義は辞書によって細部が異なりますが、大辞泉の分け方がわかりやすかったので引用します。
しごと【仕事】
1 何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。「やりかけの仕事」「仕事が手につかない」
2 生計を立てる手段として従事する事柄。職業。「将来性のある仕事を探す」「金融関係の仕事に就く」「週の半分は自宅で仕事する」
3 したこと。行動の結果。業績。「いい仕事を残す」
4 悪事をしたり、たくらんだりすること。しわざ。所業。「掏摸(すり)が集団で仕事をする」
5 《「針仕事」の略》縫い物。裁縫。
「お前急に一つ―をしてくれんか」〈紅葉・多情多恨〉
6 力学で、物体が外力の作用で移動したときの、移動方向への力の成分と移動距離との積。単位はエネルギーの単位ジュール、その他ワット秒・ワット時など。
出典:デジタル大辞泉より
「仕事」という言葉を使うときに、2の「職業」の意味で使うことも多々ありますが、この場では1の「何かを作り出す、または、成し遂げるための行動」という定義のみを「仕事」とします。
改めて見ても、仕事という言葉は広義ですね。
赤ちゃんは泣くのが仕事
学生は勉強するのが仕事
というように、みんな仕事をして生きています。
そこに必ずしも金銭が関わっている訳ではありません。
主婦はたくさんの仕事を日々こなしています。
職業とは何か
では今度は「職業」とは何か、考えてみましょう。
しょくぎょう【職業】
生計を維持するために、人が日常従事する仕事。生業。職。「教師を職業とする」「職業につく」「家の職業を継ぐ」「職業に貴賤(きせん)なし」
出典:デジタル大辞泉
ここでも「仕事」と同義にも扱われていますが、先述したように仕事と職業はここでは分けて考えます。
上に引用した大辞泉にもあるように、他の辞書や百科事典でも、職業は「生計を維持するため」と定義されていることがほとんどです。
また、世界大百科事典第2版では、「毎日仕事をするといっても,趣味や道楽でする仕事,主婦の行う家事や育児,ボランティア活動などは職業とはいわない。」とハッキリ記載があります。
出典:コトバンク, 世界大百科辞典第2版より
主婦はほぼ毎日、休みなく仕事をしますが、それは職業にはなりません。
主婦の仕事では生計を立てられないからです。
主婦 ←「誰のおかげで生活できてると思ってるんだ」
主婦の中には、配偶者からこんなセリフを言われたことがある人もいるかもしれません。
[st-kaiwa8]誰のおかげで生活できてると思ってるんだ![/st-kaiwa8]
これを言われると傷つきますね。
こんなことを言う人には、一生タンスの角に足の小指をぶつけ続ける呪いをかけたいと思います。
しかし主婦の仕事には金銭が発生していないので、たいていは配偶者の職業によって金銭的な支えがされていることがほとんどです。
金銭面だけで言うと、たしかに配偶者の職業のおかげで生活できているので、真実とも言えることです。
では、主婦はタダ飯食らいなのでしょうか?
[st-kaiwa1]配偶者さまのおかげで毎日生きられます、ありがとうございます![/st-kaiwa1]
という気持ちを持つべきでしょうか?
[st-kaiwa1]…って、そんなわけあるかーー!!![/st-kaiwa1]
※もちろんお互いに感謝の気持ちは大事ですよ!
主婦の仕事を考えてみる
主婦の仕事はなんでしょうか?
[st-mybox title=”主婦の仕事内容” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 掃除
- 洗濯
- 料理
- (育児)
- (介護)
- (近所づきあい)
[/st-mybox]
(かっこ内)は人によって発生する仕事です。
[st-mybox title=”関連” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
ここで性交渉が仕事に含まれるかどうかは人によるところです。
もう義務感で夫婦生活を行なっている、という場合には性交渉は仕事に含まれるでしょう。
そうでない場合、性交渉はコミュニケーションの一環か、エンターテイメント、もしくは子供を産み育てるための行為となりますので、仕事ではありません。
[/st-mybox]
以上のように、主婦は無職ではあれど、仕事は山のようにあります。
いわゆる家事は、手抜きするにも、極めるにも、上にも下にもキリのない仕事です。
私の友人には主婦のカガミのような人がいます。
彼女いわく、
[st-kaiwa8]主婦って、
料理人でもあり、
インテリアコーディネータ、
テーブルコーディネータ、
保育士、
教師…
いろんなもののエキスパートになれるのよ![/st-kaiwa8]
実際に彼女の主婦業はすばらしく、私の10倍は優れた主婦でした。
私は勝手に彼女のことをプロ主婦と呼んでいます。
金銭は発生しないにしても、これだけの仕事をこなし、タダ飯食らいとは誰も言えないでしょう。
主婦業は人によって仕事の量も質も全く異なるため、「ほら、主婦の仕事はこのくらい大変」と一括りにするのは乱暴です。
では私のようなぐうたら主婦は、少ない家事の仕事量で配偶者が稼いでくれることをありがたく思い、媚びへつらって生きるべきでしょうか?
それも違います。
パートナーとの合意あっての主婦
配偶者の大反対を押し切って専業主婦になった、という方は少ないでしょう。
結婚や出産、引っ越しなど、それぞれのきっかけで、配偶者との合意のもとに専業主婦を選択した方がほとんどです。
配偶者は雇い主ではありませんが、人生のパートナーです。
自分の相手が専業主婦である中で、その仕事と生活について、お互い納得できるポイントを見つけ、心地よく過ごせるようにするのが夫婦です。
主婦は自分の独断で主婦でいるわけではなく、パートナーとの合意の上で主婦でいるのですから、主婦であることを卑下する必要は全くありません。
専業主婦の仕事をパートナーと見極めよう
ここでは、専業主婦のいる夫婦を「主婦」と「稼ぎ手」という呼び方で分類します。
専業主婦の仕事はひとによって基準が全く違うので、その家庭にとっての主婦業の基準を、パートナーと決めておくことが大事です。
最低限、お互いが納得して(妥協して?)おくべきポイントはこんなところです。
[st-mybox title=”お互い探るべきポイント” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 専業主婦の仕事量
- 仕事の質
- 仕事以外に大切にするもの
[/st-mybox]
ここがずれてしまっていると、
[st-kaiwa8]もっとちゃんと家事をしてほしいのに、全然やってない![/st-kaiwa8]
[st-kaiwa8 r]「こんなに大変なのに、主婦の辛さをわかってない![/st-kaiwa8]
とすれ違いかねません。
もしすれ違っているのであれば、どこまで主婦にやってほしいのか、主婦がやることが可能なのか、稼ぎ手はどこまで家事をするのか、話し合って基準を明確にした方がいいでしょう。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
たとえば我が家では、掃除が苦手な私は部屋を常にキレイには保てません。
しかし料理はそこそこ好きなので、料理はそれなりにしっかり作ります。
夫も家ごはんが好きなタイプなので、掃除よりも料理を優先して欲しい、というところが合致しており、上手くいっています。
掃除は夫自身が気になった時は夫が自分で行います。
[/st-mybox]
全ての家事を完璧にできないのであれば、お互いの妥協点を見つけることになります。
どうしても妥協点が見つからない場合は、お互い辛い思いをすることになります。
主婦の仕事より大切なものは
特に子供が生まれたり、心身が弱ってしまったり、他にすることが出来たりすると、それまで通りの主婦の仕事をするのは難しくなります。
そこで、主婦の仕事よりも大切なものは何かについて、夫婦で改めて考える必要があります。
主婦がやりたい事をやってストレスなく笑顔で過ごせるなら、
「家事は一切しなくていい」
という稼ぎ手もいるかもしれませんが、
「せめてこれくらいやってほしい」
という最低ラインがある場合の方が多いでしょう。
その場合は最低限の主婦の仕事と、主婦の仕事より優先するべき「やりたいこと」の兼ね合いを考える必要があります。
また、主婦が心身いずれかがピンチな時、主婦の体と心の健康よりも主婦の仕事をしっかりしてほしい、と稼ぎ手が感じるのであれば、お手伝いさんを雇うか、離婚するという選択肢もあるでしょう。
主婦の仕事がどこまで優先すべきものなのか、各家庭によって決めなければいけません。
「誰のおかげで生活できていると思ってるんだ」って言っていいのか
「誰のおかげで食っていけると思ってるんだ」というのは筋違いです。
夫婦で納得できる仕事を主婦がこなしているなら勿論言うべきではないですし、もし自分の望むだけの主婦仕事をしていない、と思うのであれば、それはパートナーとしての意思疎通が足りません。
パートナーとして、一人は主婦業を、もう一人はお金稼ぎをする、という分業をしているに過ぎないので、自分の稼ぎ手としての仕事だけを重視した、ただ一方的な見方になっています。
「誰のおかげで食っていけると思ってるんだ」
を稼ぎ手が言うなら
「誰のおかげで職業をまっとうできていると思ってるんだ」
という主婦側からの暴言も可能になります。
これはいずれも、互いをパートナーとして軽視している発言であり、自分こそが優位であるという、対等ではない関係性を表しています。
パートナーを尊重し、対等な夫婦関係を理想とするのであれば、軽々しく口にしていい言葉ではありません。
もし相手からそんな発言をされたなら「自分の仕事を軽視している」と捉えて間違いないでしょう。
主婦にも給料がほしいという人へ
主婦の給料、5億円ほしーー!!!
というコミックエッセイがあります。
これ自体は子供を持つ主婦の大変さをつづったマンガです。
(私もおもしろく読みましたし、この本を批判するつもりはありません)
このタイトル、気持ちはわかります。
はたらけど、はたらけど、なお我が給料全くもらえず、ぢっと手を見る
主婦ってそんな気持ちになります。
でも、どう考えても主婦で5億円はもらえません…
ほしいですけどね!5億円。
お金は人生をどう過ごすかに関わってきますし、いくら稼げたか、という分かりやすい指針にもなります。
しかし主婦は主婦である以上給料が発生することはありません。
もし配偶者から「給料」という形でお金をもらっているのであれば、もはやそれは夫婦というより雇用関係です。
主婦は明確な報酬も、成果もハッキリとした数字で得ることはできず、「自分のやっていることに価値はあるのだろうか」などと悩むことになり、やりがいを見出せなくなります。
だからこそ、そんなやりがいを無くした主婦をなぐさめるために「主婦業を給料換算すると…?」という無茶な話が出てきてしまうのです。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
内閣府の「無償労働の貨幣評価の調査」というものもありますが、家事を各職業のプロの時給に換算して計算しているため、一般的な主婦が行う家事労働の給与を正確に換算できているとは思えません。
例:炊事は調理員とその見習いの平均時給、掃除はビル清掃員の平均時給、など
[st-kaiwa1]私の家事とプロの仕事が同じクオリティなはずないでしょう![/st-kaiwa1]
GDPと比較するなどを目的とした調査とのことです。
[/st-mybox]
主婦は給料以外でやりがいを見つけるべし
主婦である以上、給料が発生しないのはどうしようもありません。
そのため、主婦は給料以外の部分でやりがいを見つける事をオススメします。
主婦仕事自体を極められたら最高ですし、趣味を極めるもよし、育児に専念して子どもの成長を喜ぶもよし、やりがいなんてなくていいやーという考えもいいでしょう。
私の場合は、あまり家事全般が好きなわけでもないので、資格取得や、このブログ配信などをやりがいにしています。
[st-kaiwa1]個人的に、資格取得はとってもオススメ![/st-kaiwa1]
成果がわかりにくい家事、育児と違って、「合格」とハッキリもらえると達成感がすさまじいです。
資格取得には、ほどよく時間もかかり、自分の身にもなるし、今後働く場合に役立つこともあるでしょう。
良いことづくしです。
また、私はこのブログを始めたことで、新しいやりがいを感じています。
まず第一に、今のあなたのように、見てくださる方がいるのがすごく嬉しいです。
自分の考えや、やってきたことを文章にして、それが誰かの役にたつかもしれない、ちょっとした解決策になるかもしれない、と思うとますます嬉しいです。
文章を書いたり、人に何かを伝えるのが好きな人にはブログもオススメです。
料理や掃除など、家事の一部にこだわってもいいですし、あなただけの「やりがい」を見つけてください。
主婦は無職でいいじゃない
主婦はまぎれもない無職です。
しかし、無職だからといって価値がないわけではありません。
各家庭で求められる役割を担い、稼ぎ手をサポートする大切な仕事、それが専業主婦です。
しかし主婦であること自体に誇りを持てないのであれば、他の部分でやりがいを見つけるといいでしょう。
仕事をはじめるという選択肢だってあります。
パートナーと話し合いながら、自分がイチバン納得できる生き方をめざせるといいですね!
誇れる自分でありましょう。
ご参考までに、私が今挑戦中なのは保育士資格。