2000h for english

こどもの英語

【根拠なし】英語学習には2000時間必要

「英語学習には2000時間が必要」

という話をよく聞きます。

 

 

私は幼児英語教材について調べていると、特になんども目にする言葉でした。

でもそのたびに疑問が。

まんまる
2000時間って…どんな根拠で言ってるんだろう

 

2000時間必要だ、と書いてあるところにはこんな言い方ばっかり。

「必要だと言われている」

「必要だそうです」

え、誰がどう言ってるの?

 

 

自分が英語を学習した経験と、自分が教える立場としての経験から、考えれば考えるほど、この「2000時間」をあやしく感じ、調べてみることにしました。

 

するとなんと!

「英語学習に2000時間必要」

ということにちゃんとした根拠はありませんでした。

 

びっくり。

くわしく説明していきますね。

 

 

「英語に2000時間必要」って雑な話

最初に「英語学習には2000時間必要」という言葉を聞いた時に、

「なんて雑なくくりなんだ」

と感じました。

 

 

だって、これ全部がナゾです。

  • 子どもなのか大人なのか
  • どんなレベルを目標にしているのか
    (日常英会話?ビジネス英語?ネイティブレベル?)
  • 2000時間、英語を聞きながすだけでいいのか、授業時間なのか
  • どんな母国語を前提にしているのか
  • どこに住んでいる前提なのか
  • どこで、誰を、なん人を対象に統計をとったのか

 

特に、幼児教育で2000時間というと、0才の赤ちゃんに英語の歌を聞かせる時間もカウントしていいものでしょうか。

赤ちゃんの時の1時間と、学生になって英語の授業で受ける1時間と、同じだけ英語がわかるようになるのでしょうか。

まんまる
そんなわけない

 

 

なーんか変な話です。

論文から引用してきたなら、引用元が書かれているはずなのに、それもない。

語学の専門家が直接言っているわけでもない。

 

なんじゃこりゃぁ。

 

2000時間の根拠っぽいもの

「英語学習には2000時間」の根拠さがしのインターネットの旅にでました。

日本の論文を探しても、英語で調べてみても、見つからず。

 

 

この記事を書きながらもいろんな記事、資料、論文を見ていたら、2つ見つけました。

 

一つはFSIという機関が出している、アメリカ政府職員向けの言語トレーニングの資料。

もう一つは、CEFRという、元はヨーロッパで外国語習得のレベルをわかりやすくするため、作られた基準です。

 

 

根拠っぽい1、アメリカのFSI

他のサイトでも情報が載っていましたが、おそらくコレが根拠っぽい、と考えられるのは、アメリカ政府職員向けに行われている言語トレーニングの目安時間です。

Foreign Service Institute(FSI)という機関が情報をだしています。

 

 

ここで、アメリカ政府職員がいろんな国の言語を、プロフェッショナルとして働けるレベルになるまでに必要な目安の授業時間(class hour)が書かれています。

そのサイトはこちら

参考

70年以上の経験から平均的な必要学習時間を出しているけれど、生まれ持っての性質やそれまでの言語学習の背景など、様々な面で必要な時間は大きく異なる。

とFISのサイトでも書かれています。

 

気になる日本語を学ぶためにかかる時間は…

FSI日本語を学ぶ基準

テレレレっ

2200時間〜。

 

英語を母国語をする人が外国語を学ぶ時の難しさ別に必要な授業時間(Class hour)を書いているのですが、日本語は英語ネイティブにとって「Super hard language」。

一番時間がかかる、特にむずかしい言語としています。

 

 

英語を学習するのに必要だと「言われている」2000時間にかなり近いですね。

 

 

根拠っぽい2、 欧州の語学基準CEFR

もうひとつはこちら。

ヨーロッパの人が、いろんな外国語がどのくらいできるか、それにはどれくらい時間がかかるかの基準を表したものです。

元はヨーロッパだけだったのが、今は世界中で使われているようです。

 

CEFR日本語学習の基準

こちらでも、ヨーロッパの人が日本語を高いレベルで習得するには2,200時間と書かれており、アメリカのFSIが言っているのと同じです。

参考

こちらはCEFR公式の記載はネット上では見つけられなかったのですが、後で引用させてもらう論文や、その他日本語を勉強するための一般サイト(画像もこちらから)にも書かれていました。

 

「英語を学ぶには2000時間は必要だ」
というざっくりとした情報ならいくらでもあるのですが、ちゃんとデータがそえられているような、根拠のしっかりしたものは全くありませんでした。

 

 

FSIとCEFRは2000時間の根拠になるか

いくつかの英語教材などが言っている「英語には2000時間必要説」の根拠がFSIやCEFRだと仮定して、これは根拠になるのでしょうか。

まんまる
ちょっとこじつけすぎると思う

 

なんでFSIやCEFRが言っている

「英語やヨーロッパの言葉を話す人が日本語ができるようになるまで2,200時間」

は根拠にならない、と思うのか、つらつらと書いていきますね。

 

 

論理がめちゃくちゃ

まず、すごーくザックリ考えましょう。

英語(など)を話す人が、日本語で仕事ができるようになるまで2000時間必要。

だから

日本人が、英語ができるようになるまで2000時間必要。

 

 

…そうかな?

なんか、

「マグロは魚であるから、魚はマグロである」

くらい乱暴な話じゃないですかね。

 

一瞬そうだそうだ!と納得しそうになりますが、冷静に考えると

「そんなはずない」

と気づきます。

 

 

前提条件がちがいすぎる

FSIを例にとると、アメリカ政府職員は英語を母国語とする人ががほとんどで、アメリカ人の中でもかなりのエリートです。

外交に関わる職員向けのようなので、話せる言語はきっと英語だけではないでしょう。

 

 

そんなエリートアメリカ人の大人が、日本語で仕事ができるまでに2200時間の授業時間(Class hour)が必要ということです。

日本語も話せない赤ちゃんが英語の歌を楽しく聞く時間を含めての2000時間と、全く違います。

 

 

もしFSIの資料を根拠としているなら、かなり適当にザックリととらえすぎです。

 

 

英語教育学者も地味にツッコんでる

英語2000時間の根拠を調べているときに、とっても興味深い論文にたどりつきました。

 

FSIやCEFRの資料の2200時間から、日本人が同じレベル(英検1級、TOEIC945点以上レベル)まで学ぶには何時間必要か、を多数のデータから検証しています。

 

CEFR に掲載されている標準受講時間数を基 に「日本人には○○○時間の英語学習が必要」 とインターネット上で主張しているところが いくつかあるようだが、これはあまりに安直に CEFR の情報を取り込んだ結果であり、日本人英語学習者にその情報を適用するには不適切である。

出典:坂田 浩・福田 スティーブ, 「日本人の英語学習時間について -これまでの学習時間とこれから求められる学習時間-」

ですよね。

ナイスツッコミ!

 

 

英語学習に何時間必要か

じゃあ子供に英語ができるようになってほしいなら、何時間勉強すればいいのか気になりますよね。

 

これはどこをゴールにするかによって全く違います

外国人の友達にあいさつできるくらいなら、子どもでもちょっと練習すればなんとかなるでしょう。

むしろ本人の性格によっては練習なんていりません。

まんまる
私は出川イングリッシュを尊敬しています

 

英語の目標は、英語で仕事(といっても幅広いですが)に困らないレベルなのか、それともネイティブレベルなのか…

 

 

大人になった時の目標は立てやすいですが、子どもの英語の具体的な目標をたてるのってむずかしいです。

まんまる
子どもがビジネス英語できてたら逆に不安になるわ

 

 

なので、子どもから大人まで、英語を身につけるのに必要な時間をひろく考えてみましょう。

 

 

英語を身につけるのに必要な時間は

アメリカ在住のアメリカ人が6才までに英語を聞く時間は、17,520時間だそうです。

(出典:竹蓋順子, 「新しい英語教育三ラウンドシステム」

なので、6才の子どもにアメリカ人並みの英語を話して欲しいのであれば、2000時間どころではありません。

 

 

ただ、日本に住んでいる以上、英語だけじゃなく日本語も大事だ、という家庭がほとんどでしょう。

そうなると英語だけを学ぶわけにはいかない。

 

 

これまた幼児英語教材の売り文句でよく見ますが、子供だって無条件に語学の天才ではありません

英語圏に移り住んだ日本人のこどもだって、日本語と英語のふたつのコトバ習得に苦労するという事実は、英語圏に住んだことのある人なら誰でも知っていることです。

 

 

幼児期に2000時間英語ができれば将来も英語ができる、というのは全く当てになりません。

 

さきほど紹介した、論文より情報を引用します。

それによると、一般平均的に、日本人が大学卒業までに英語を勉強する時間は、自主学習なども含めて約2000時間。

それにさらに5,000時間追加で勉強すると、日本人が英検1級、もしくはTOEIC945点以上のレベルに到達する、とのことです。

 

つまり、合計7,000時間以上の学習で、やっとハイレベルな英語に到達できる、と計算されています。

 

 

 

これは中学校から勉強した場合ですが、幼児期から勉強したら英語を身につけるまでの勉強時間がすごく短くなる、とは考えにくいです。

言語を学ぶことは、文化的背景や様々な知識が必要になりますので、その時の年齢によって必要な言語が変わってきます。

参考

日本語ネイティブの10才が、さっきから引用している日本語の論文の内容を理解できるか、というと、おそらくできないでしょう。

たとえ母国語でも、年齢にあった言葉を長い時間をかけて覚えていくのです。

英検1級には専門的な単語も多く使われているので、英語圏の子供でも取得は難しいです。

 

 

○才で英検1級!

などと輝かしい成果が教材の宣伝にはたくさん書いてありますが、それは英語に限らずそのお子さんがとても優秀だったという、とても珍しい例です。

 

 

子どもそれぞれの生まれつきの能力や、いろんな環境によって、英語を身につけるのに必要な時間は変わってきます。

まんまる
冷静に考えると、当たり前だよね

 

 

こどもは英語を身につけても使わなければどんどん忘れていきますし、その時によって必要な英語はどんどんふえていきます。

こどもの英語学習を何時間めざして、といってがんばるよりも、その時の子どもにとって必要な英語、楽しめる英語を見つけて学んでいくことを心からオススメします。

 

2000時間やったからといってできるようになるわけではないし、子どものうちに2000時間かけないと英語ができないわけでもないです。

 

 

「英語に2000時間」はムシして楽しもう

こんな感じで調べていくと、「英語に2000時間必要」というのは全くテキトーな話だということがよくわかりました。

 

こんなテキトーな話を大々的に広告に出している教材が複数あるのは…

大人の事情ですかね。

深くはツッコまないでおきましょうかね。

 

 

とにかく、2000時間がどうこういう話は完全に無視しましょう。

子どもの英語の目標は、

何時間かけて英語を学んだか、子どものうちに何ができたか、

よりも、

どれだけ英語を楽しめているか、英語のたのしさを感じたか、

を判断基準にするといいでしょう。

 

 

ずーっと続けていく英語学習、楽しめる人はなにより強いです!

7,000時間も英語を勉強するなら、楽しくないとやってられません。

 

親も子も、楽しく英語がまなべるといいですね。

まんまる
私もまだまだ勉強中

 

 

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